Excelで数列や級数を扱うとき、複雑な数式を1行でまとめたい場面があります。
そんなときに便利なのが SERIESSUM関数 です。
SERIESSUM関数は、日常のビジネス業務よりも 数学的に高度な数式処理や級数展開の計算 で使われるケースが多いのが特徴です。
SERIESSUM関数とは?
SERIESSUM関数は、指定した数列(べき乗の和)を計算する関数です。
数値解析や数式展開など、やや高度な数学的処理に使われます。
書式
=SERIESSUM(x, n, m, 係数)
- x:べき乗の基数(計算対象の数値)
- n:最初の指数(最初にxを何乗するか)
- m:指数の増分(次の項で指数をどれだけ増やすか)
- 係数:数列の係数リスト(セル範囲で指定)
例:
=SERIESSUM(x, n, m, {a1,a2,a3}) は次の式を計算します。
= a1 * xn + a2 * xn+m + a3 * xn+2m
例題
=SERIESSUM(2, 1, 1, {1, 2, 3})
- x = 2
- n = 1 (最初の指数は1)
- m = 1 (次の項から1ずつ増やす)
- {1,2,3} = 係数リスト
展開ステップ
- 最初の項(a1=1)
1 * 2^1 = 1 * 2 = 2
- 2つ目の項(a2=2、指数は n+m = 1+1=2)
2 * 2^2 = 2 * 4 = 8
- 3つ目の項(a3=3、指数は n+2m = 1+2=3)
3 * 2^3 = 3 * 8 = 24
各項を足す
2 + 8 + 24 = 34
結果
=SERIESSUM(2, 1, 1, {1,2,3})
の計算結果は 34 になります ✅
使用例
例1:セル参照を使う
セル範囲 A1:A4 に {1, 2, 3, 4} が入力されているとき:
=SERIESSUM(3, 0, 2, A1:A4)
計算式は:
1*3^0 + 2*3^2 + 3*3^4 + 4*3^6
= 1 + 18 + 243 + 2916
= 3178
例2:三角関数の級数展開(応用)
テイラー展開の一部をSERIESSUMで表せます。
例えば sin(x) の近似式(xはラジアン)は:
sin(x) ≈ x - x^3/3! + x^5/5! - x^7/7! + …
これを係数リストで指定して計算可能。
活用例
- 級数展開の計算(テイラー展開やマクローリン展開など)
- 数列をまとめて計算(係数×累乗の繰り返しを一括処理)
- 数学・統計の演習や学習での活用
注意点
- 実務(ビジネス計算)で使うことは少なく、数学系の用途に特化。
- 係数は必ず配列や範囲で与える必要がある。
- 結果は小数や大きな値になるため、桁数に注意。
関連関数
関数 | 内容 |
---|---|
SUMPRODUCT | 配列の積の合計を求める(似た使い方が可能) |
POWER | 指数計算(xのn乗を計算) |
EXP | 自然対数の底eを使った指数関数 |
まとめ
SERIESSUM関数
は 数列(係数×べき乗)の和を求める関数- 引数は「基数」「開始指数」「増分」「係数リスト」
- 数学や統計の分野での級数計算に便利
- 実務利用は少ないが、Excelで高度な数式処理を行う際に役立つ