Excel には複素数を扱うための関数がいくつも用意されています。その中でも IMAGINARY関数 は、複素数の「虚数部」だけを簡単に取り出すための関数です。電気回路、信号処理、数学計算などで複素数を扱う際に役立ちます。
IMAGINARY関数とは?
IMAGINARY関数 は、複素数(例:3+4i)のうち「虚数部分(この例では4)」だけを抽出する関数です。
複素数形式の文字列(「3+4i」など)や、Excel の複素数関数で生成した値を入力として使用できます。
複素数とは?
「実際には存在しないけど、計算のために便利だから使う数」のことです。
たとえば数学では、
「マイナスの数の平方根(√)」は本当はできないと習いますよね?
例:√−4(マイナス4の平方根)は通常計算できないですが、
これを計算できるようにするため に i(アイ) という新しい数を作りました。
書式
=IMAGINARY(複素数)
引数の説明
- 複素数:虚数部を取り出したい複素数を指定します。
IMAGINARY関数の使い方
IMAGINARY関数に複素数を渡すと、その中に含まれる「i の係数部分(虚数部)」が数値として返されます。
返される値は通常の数値なので、他の計算にもそのまま利用できます。
例1:虚数部だけを取り出す
=IMAGINARY("3+4i")

結果:4
例2:負の虚数部
=IMAGINARY("2-5i")

結果:-5
活用例
- 電気回路(交流解析)
インピーダンス計算などで虚数部の抽出に使う - 信号処理(フーリエ変換)
複素数の実部/虚数部の分解に - 数学教育・研究
複素数の学習や表示に - 複素数を用いたシミュレーション
COMPLEX関数と併用するケースが多い
注意点
- 入力は 複素数形式の文字列 または複素数関数の結果である必要がある
- 虚数単位は i でも j でもOK(Excelはどちらにも対応)
- 実数のみ(例:「5」)を指定すると 0 が返る
- スペースを含む複素数(例:”3 + 4i”)はエラーの原因になるため避ける
関連関数(テーブル)
| 関数名 | 役割 | 使用例 |
|---|---|---|
| IMREAL関数 | 複素数の「実部」を返す | =IMREAL("3+4i") → 3 |
| IMABS関数 | 複素数の絶対値(大きさ)を返す | =IMABS("3+4i") → 5 |
| COMPLEX関数 | 実数・虚数から複素数を生成 | =COMPLEX(3,4) → “3+4i” |
| IMCONJUGATE関数 | 複素数の共役を返す | =IMCONJUGATE("3+4i") → “3-4i” |
まとめ
IMAGINARY関数は、複素数から「虚数部だけを簡単に取り出す」ための便利な関数です。複素数を使う計算では、実部・虚数部の分解が必要になることが多く、その際に IMAGINARY関数は不可欠な役割を果たします。他の複素数関数と組み合わせることで、より高度な数学・工学的処理も行えるようになります。