ローンや借入金の返済額を分析するとき、「特定の期間にどれだけ元金を返済したのかを確認したい」と思ったことはありませんか?
そんなときに便利なのが CUMPRINC関数 です。
この関数を使うと、利息を除いた元金の支払合計を簡単に求めることができます。
CUMPRINC関数とは?
CUMPRINC関数は、ローンや投資などの定期的な支払いにおいて、指定した期間に支払った元金部分の合計を返す関数です。
たとえば「住宅ローンで1年目にどれだけ元金を返したか?」を調べるときに使えます。
書式
=CUMPRINC(利率, 期間, 現在価値, 開始期, 終了期, 支払期日)
引数の説明
- 利率:各期の利率(年利の場合は12で割る)
- 期間:支払期間の総数(例:30年ローンなら30×12)
- 現在価値:現在価値(借入金の総額)
- 開始期:計算を始める期(例:1)
- 終了期:計算を終える期(例:12)
- 支払期日:支払タイミング(0=期末、1=期首)
🔹結果は「元金合計額」をマイナス値で返します(支払いを意味するため)。
正の値で見たい場合は、=-CUMPRINC(...) として符号を反転させましょう。
使用例
年利5%、2年(24か月)ローン、借入金30万円のうち、1年目に支払った元金合計を求める

ここでは、年利5%・2年間(24か月)で30万円を返済するローンを想定し、
1年目(最初の12か月)に返済した元金の合計をCUMPRINC関数で求めてみます。
=-CUMPRINC(B3/12,C3*12,D3,E3,F3,G3)
引数の設定
- B3/12:ローンは年利5%で、返済は毎月1回(12回/年)なので、5% ÷ 12 として「月利」に変換します。
- C3*12:2年間のローンを毎月返済する場合、2年 × 12か月 = 24回 となるため、ここでは 24 を指定します。
- D3:「現在価値」は借入金を入力します。ここでは、30万円を借りたと仮定しています。
- E3:計算を始める期を指定します。今回は1期目(1か月目)から計算を始めたいので、 1 を指定します。
- F3:今回は「1年目(12か月分)」の元金合計を求めたいので、12 を指定します。
- G3:通常のローンやクレジット返済では、月末(期末)払いが多いため、ここでは 0 を使います。
実際にExcelでこの数式を入力すると、結果は次の通りになります。

この数字は、「ローン返済1年目に支払った元金の合計額」を意味します。
つまり、最初の12か月で30万円のうち約14.6万円を元金として返済しており、残りの約15.4万円が2年目以降に返されることになります。
活用例
- 住宅ローンの元金返済計画
毎年どのくらい元金が減っているかを一覧にすれば、繰上げ返済の効果を比較できます。 - 車ローン・教育ローンの返済分析
元金部分と利息部分を分けて、実際の支払いバランスを把握できます。 - 投資商品のキャッシュフロー分析
投資の「元本回収部分」を計算するときにも利用可能です。
注意点
- 結果はマイナス値で返されます(支払いを示すため)。
→ 正の値にしたい場合は-CUMPRINC(...)にします。 - 利率は1期間あたりの利率を指定する点に注意。
年利5%なら 5%/12 のように12で割って月利にします。 - 支払期日の設定ミスに注意(期首払い=1、期末払い=0)。
ローンによって異なるため、契約条件に合わせましょう。
関連関数
まとめ
CUMPRINC関数は、一定期間の元金返済額をまとめて求められる関数です。
ローン返済の分析や資金計画にとても便利で、
CUMIPMT関数(利息合計)とセットで使うと、より詳細な返済内訳を出すことができます。
Excelでローン計算を行う際には、ぜひ活用してみましょう。